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ここで学べること

研究は、楽しくエキサイティングです。
その研究を楽しむには、知識も技術も必要です。

科学研究を行うということは、新しい研究テーマ、つまり謎を見つけて、それに答えを出すべく取り組み、その成果をまとめて論文として公表することです。この真ん中の部分が、狭い意味での研究の実行になり、それ自身心躍る経験です。そのためには、数学・物理、プログラミング、専門分野の知識が必要となります。研究の出口である研究成果の発表には、論文執筆やプレゼンテーションの能力を身につけなくてはなりません。実は研究の入口の部分、つまり新しいテーマを見つけるのは一番高度な力です。なぜなら、科学で新しいテーマを立てるには、そのテーマに関連する既存の研究を熟知していることが必要ですし、そのテーマが現実的な時間内に現在の技術で実行可能かどうかを見極めるには研究の経験も不可欠だからです。

海洋気候物理学研究室では、学部または大学院で研究活動をする中で、これらの力を段階を追って身につけていけるように指導しています。おおまかには、研究室に配属される学部4年生から大学院修士課程にかけて研究に必要な知識や技術を学びながら研究の最先端の研究を行い、今日の科学の謎の一つに答えます。博士後期課程では自分自身の力で研究の最先端の問題を見つけ、答え、発表できるように、教育しています。より具体的に、以下で説明しましょう。

理学部 地球惑星科学科理学部 地球惑星科学研究(Ⅰ・Ⅱ)(卒業論文)指導

平成23年度以降入学生で理学部地球惑星科学科に配属になった学生は、卒業のために全員が地球惑星科学研究を履修する必要があります。平成22年度までの入学生は、地球惑星科学研究Ⅰ・Ⅱは選択ですけれど、当研究室では基本的にこれらの科目を履修するものと考えています。

海洋気候物理学研究室における卒業論文は、大きくは自分で実際にデータ解析や数値計算をするか、それともレビューといってあるテーマについて複数の論文の紹介をする、という二通りがあります。解析や計算では、まだ分かっていない新しいことを扱う場合と、まずは既に知られている内容を自分でもやってみるという場合があります。レビューでは、研究の最先端の内容を理解しそこから現在の問題点を明らかにします。

海洋気候研究室では、どのような卒業論文の内容を選ぶかを、学生の興味や関心を生かすように、教員と学生の間でよく相談して定めています。

大学院理学院 自然史科学専攻 自然史科学特別研究1(修士論文)指導

修士論文では、新しい研究に取り組みます。そのためには、論文を読んで自分のテーマに関係する既存の先端の知識を得ることと、その研究を行う上で必要な技術を身につけることの2つが重要です。当研究室の研究テーマは国際的ですので読む論文のほとんどは英文の国際学術誌に発表されたものです。そういう論文を読むには英文解釈の能力と基礎的な専門知識の両者が必要です。論文を読むことにより現在、最先端の科学でわかっていることとわからないことが把握でき、自分が得る結果の意味を判断できるようになります。また実際に研究で新しい知見を得るには、データ解析や数値計算を行うので、その技術を必要に応じて身につけます。これらの知識や技術を駆使して、科学の最先端にチャレンジします。修士修了後に就職する大学院生は、就職活動中の研究活動はゆっくりとしたペースにならざるを得ない場合もありますが、修士論文が完成する頃には研究の最先端を味わう楽しさがわかってくると思います。そうなるように教員は学生の考えを大切にしながら、修士論文の完成まで十分にサポートします。

修士課程の学生でも完成度の高い研究成果が早々にあがれば、論文執筆や海外の学会で発表の機会を設けることになります(博士論文指導参照)。また他大学からの志望者も歓迎します。

大学院理学院 自然史科学専攻 自然史科学特別研究2(博士論文)指導

博士後期課程においては、論文を書き、研究成果を公表することと、自らの力で新しい科学的問題を立てて解決することの2つができることが求められます。

海洋気候物理学研究室では、論文は英文で書いて国際学術誌に投稿することになります。英文論文を書く技術はあらゆる研究の技能の中でも熟練に時間を要するものの1つで、じっくりと時間をかけてしっかりした論旨を組み立てることが重要です。また、研究を公表する手段として国際学会の場で発表をすることもかかせません。海洋気候物理学研究室では、海外に積極的に発表する機会を設けています。

自らの力で新しい科学的問題を立てて解決することは、一人前の研究者になる最後の関門ともいうべき能力です(さらに優れた研究者となるには、研究を展望し、新しい分野の開拓を提言する能力というのもありますが、それはまだ先の話です。)。博士課程になると研究に必要な論文を自分で探して、最新の知識を深く,大量に吸収できるようになります。すると、自ずから現在の問題点が浮き彫りになったり、あるいは誰も気が付いていないことに気がつくこともあるでしょう。それを自分自身で答えられる問題に落とし込んで、実際に解答し、その成果を公表することが、独立した研究者としての研究です。これができるようになるとどんどん新しいアイディアが浮かんでは自らの力で実現でき、研究のだいご味を味わうことになります。博士号取得の暁にはこのように、自分自身で立案する研究を楽しめるようになってほしいと願っています。

このように博士課程では研究者として自立する一歩前という位置付けから、研究テーマの設定や研究活動は基本的に学生が主体的に行うようにし、教員は学生をサポートする役になります。