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研究室志望者へ

大学院受験生・研究室分属希望者へ

こんな人なら、海洋気候物理学研究室。あなたはどのタイプかな?

なにかで世界No.1になりたい人

世界

研究は誰も知らないことを明らかにする作業です。その意味ではどんな研究もそのテーマについて人類の中でNo.1になることです。ただ,国際的に意味があるテーマじゃないと,世界のNo.1は実感できないですね。我々の研究室で扱うテーマのほとんどは,国際的に関心を持たれているものです。世界の研究の鼓動を感じながら,皆さん努力の成果を国際学術雑誌に刻み込みましょう。

天気が好きな人

天気

気象学の基本は天気図である、と言われます。日々の天気の移り変わりに、百葉箱で気象観測をしたり、雲の写真を撮ったり、ラジオ天気図を描いたりした経験のある人も多いと思います。研究では、この気持ちを一歩進めて、「どのように」あるいは「なぜ」そのような気象が起こっているのか、を探求していきます。

海が好きな人

海

海,この膨大な液体のH2Oは,地球を特別な星にしています。この地球の気候の維持や変動にも,海は大きな役割を担っています。しかし、海洋学はまだまだ未知の分野です。我々は主に様々なデータを調べることで,海や海と空の関わりについて,新しい謎を見つけ,また謎を切り開いて行こうとしています。また、船に乗って海洋観測をするという,得難い経験をする機会もあります。

数学や物理が好きだけど、それだけでは物足りない人

大気海洋の物理は自転する地球の中の流体の運動として微分方程式を使って記述されます。その解の中には、波動や非線形性などさまざまな数理が含まれています。このような数理を探求することで大気海洋運動のメカニズムを理解することができます。数学や物理に腕に覚えのある人、この分野の数理はなかなか手ごわいですが、やりがいがありますよ。

コンピュータが好きな人

パソコン

大気海洋の研究では日々観測される厖大なデータを扱います。また、大気海洋分野では伝統的にシミュレーションが盛んに行われています。このような大規模データ処理や大規模数値計算には、コンピュータを利用します。ですので、コンピュータプログラムが好きな人は、気象学や海洋物理学がお勧め。好きなコンピュータを使って、現実世界に貢献するチャンスでもあります。

気候変動に興味がある人

気候変動

気候変動は地球環境にとって重大な問題です。しかし気候がどのような仕組みで変動しているかは、実はまだよくわかっていない部分も多く、それを理解することが気候変動の予測には欠かすことができません。我々は特に十年やそれ以上の長いスケールの変動に興味を持っています。また気候変動研究を通じた、応用研究との繋がりも意識しています。

教員はどのタイプ?

見延庄士郎 教授

私は,研究室を選ぶ前には「研究をやってみたい」くらいで,海はちょっと好き,数学や物理はべつに好きではなく,コンピュータは大学の授業で触っただけ,でした。海洋の研究室に入ったのは,そこの当時助教授だった先生が独特の面白さ,楽しさ,魅力を持っていたからです。私も少しは魅力的だといいんですけれど。

佐々木 克徳 准教授

私は「海が好きな人」で「数学や物理が好きだけど、それだけでは物足りない人」ですね.またエルニーニョなどの気候変動にも興味がありました.研究室を選ぶ際にはあまり意識していませんでしたが,国際的に重要なテーマの多い研究分野を選んだことは非常に良かったと思います.

海洋気候物理学研究室への道

高校生のあなた

北海道大学へ

大学入試については、北海道大学のウェブページ等で詳細を確認して下さい。

北海道大学1年生のあなた

地球惑星科学科へ

1年生向けに学科探検と学科分属説明会を実施します。

北大理学部 地球惑星科学科の あなた

海洋気候物理
研究室へ

3年生終わり頃、研究室配属説明会と研究室説明会を実施します。

他大学、北大 他学部他学科の あなた

北大大学院理学院
自然史科学専攻へ

大学院入試については自然史科学専攻地球惑星ダイナミクス講座のウェブページ等で詳細を確認して下さい。

海洋気候物理学研究室を希望するなら、こんな勉強をしておこう

以下の能力は研究に必要な能力とほぼ同等です。ですから、研究室分属または大学院入学前に身につけられれば文句なしですが、研究室配属後に足りないところを勉強するのでも構いません。実際、教員もそうだったりします。

英語

英語

英語は研究者だけでなく国際的な仕事をする場合には、必須の能力です。ただし、科学に必要な英語力は「ペラペラと日常会話できる」能力(もあるに越したことはありませんが)というよりは、精読力(構造の複雑な英文を間違いなく日本語にする訳読の能力)と速読力(分量の多い英文を時間内に内容の概略を把握する能力)の2つの能力を差します。その他、研究者としては英作文と英語プレゼンテーションの能力が必要です。英語は、人によって学び方が相当違います。同じやり方でも長続きしている人とそうでない人と、身に付く人とそうでない人とがいるという気がします。そこで、以下のやり方を参考にして、独自に英語力を高めるような努力(試行錯誤)をし続けて、自分に合う方法を見つけてください。

英文構造を解析する力を身につけるには、構造を意識して英文を読むことが有力です。たとえば、TIMEなどの英文雑誌を精読することで身に付きます。また、古典的な受験参考書(たとえば「英文解釈教室」や「英文標準問題精講」)のレベルは非常に高いと思います。ただ、いずれも科学英語を読みこなす能力とは若干離れるような気もしますから、ご参考まで。

英語に慣れるには、英語の聞き流しCNNを聞いたり、ペーパーバックを読んだり、ポッドキャストを聞いたり、などが挙げられます。ポッドキャストは通学中に聞き流すだけでも効果があります。日本語とは違う英語のリズムに慣れると、読む力もつきます。

参考サイト:英語耳を鍛えるための科学なポッドキャスト10選
http://blackshadow.seesaa.net/article/101156674.html

物理

物理

物理と次の数学は、なかなか「分かった!」という気持ちになりづらいかもしれません。でもそれでいいのです。分かったと思えなくても、実際に使って慣れていくと、いつか分かっています。もちろん早いうちから自信をもって、「分かった」、「使える」、と思えるに越したことはないですけれど、学部段階では、なんとなくなじみがある、というところでも悪くないでしょう。 気象学と海洋物理学の基礎となっているのは回転系における流体力学です。物理学としての流体力学全般の抽象論を網羅する必要はなく、渦・波・流れといった概念を数式で表現することに慣れておくと、後で必ず役立ちます。参考書として「道具としての流体力学」がお勧めできます。

流体力学にも気象学や海洋物理学を学ぶにも、古典力学の初歩、熱力学、振動・波動の知識が必要です。最近は高校で物理を履修していない人にも分かりやすい、親切な参考書が増えています。たとえば、講談社基礎物理学シリーズ(「力学」、「熱力学」や「振動・波動」)が便利です。

大気や海洋は電気的にほぼ中性ですし、原子・分子の微細構造や、時空のゆがみが気になるよことはほとんどないので、電磁気学、量子力学、相対性理論の知識が必須という訳ではありませんが、どれも勉強しているに越したことはありません。

数学・統計

気象学・海洋物理学では、定量的な理解のため数式を使った記述が重要です。とくにベクトル解析と微分方程式は必須で、この両者のために線形代数と微分積分を学んでおく必要があります。たとえば講談社基礎物理学シリーズ「物理のための数学入門」はそれらの分野をちょうどよく網羅しています。 また、統計学に関しては多少知っておくと、研究でデータ解析を行う際に非常に役に立ちます。たとえば「統計学入門」(東京大学出版会)が推薦できます。

コンピュータ

研究ではコンピュータを使ったデータ解析や数値シミュレーションを行います。基本ソフト(OS)はWindowsとLinuxを併用しています。そのため、Linuxについての知識が多少でもあると研究実施上、便利です。 また、研究実施上、プログラミングも知っておくと便利です。海洋気候物理学研究室では、Fortran90とMatlabを使っています。プログラムの基礎概念(条件分岐、反復、出入力、関数)は言語を問わず共通ですので、学部でどのプログラミング言語を学ぶかは特に問いません。Fortran90では最新の機能(多態性、情報隠蔽)も取り入れられており、高度なプログラミングが可能です。

専門知識

気象や海洋に興味があると、その専門知識をいち早く知りたくなります。気象学では非常によい本として「一般気象学」が知られています。この本では、気象学全般の内容を高校卒業+α程度の知識で読むことができます。なお、この本は気象予報士試験の参考書としても有名です。

理学部地球惑星科学科のあなたにはこの講義をおすすめします。

地球惑星科学のための物理数学Ⅰ(2年生向け)

1年生で学んだ線形代数と微分積分の知識を使って、微分方程式の勉強をします。1年生で線形代数と微分積分を履修しなかった人にもなるべく配慮して講義します。

気象学(3年生向け)

気象学全般の知識を「一般気象学」を教科書として平易に解説します。

海洋気候物理学(3年生向け)

全球的な海洋や気候の物理を、回転系における流体力学として講義します。数学や物理の知識が十分でない人にもわかりやすく解説します。

地球惑星科学実験Ⅱ・気象計測(3年生向け)

北海道大学で気象観測を行い、そのデータを天気図を使って解説するという実験です。各人がある日の気象観測データのお天気解説にチャレンジします。

教員も苦労した?

見延庄士郎 教授

物理数学のいくつかの分野は、大学院時代に苦手意識を持っていました。偏微分方程式がその苦手な分野の一つだったのですけれど、結構よい教科書があったので、助手時代に一念発起してその教科書を毎朝1章読んでから大学に出勤する、ということをやってみました。この教科書は40数章で、偏微分方程式の全体を説明しているので、2カ月ほどで読み終わりました。もちろん、しっかり式を追ったり問題を解いたりしたわけではないのですけれど、大体の全体像が頭に入ったのでそれで苦手意識もなくなり、後には授業を担当もしました。あとは得意を伸ばして、苦手は避けるのも手ですね。

佐々木 克徳 准教授

学生の頃から英語はあまり得意ではありませんでした.修士1年のときに国際シンポジウムで英語のポスター発表をしたのですが,最初に受けた質問が一語も聴き取れなかったことを覚えています.大学院時代に英語の論文を沢山読んだことで,読み書きの方は大分上達したと思います.会話の方は,大学卒業後にアメリカで2年半ほど生活していましたが,それでも未だに苦労することがあります.

海洋気候物理学研究室に所属すると、こんなことが…

研究室メンバー全員が参加する活動はこの4つです。

雑誌会

教員・研究員・学生が研究発表を行います。大気海洋の最先端の研究に触れることのできるよい機会でもあり、自分の研究や卒業論文の内容を教員や先輩に見てもらう機会でもあります。特に、卒業後、研究者になる人はもちろん、一般就職する人にも、プレゼンテーションの能力は欠かせないことから、当研究室では特に力を入れてプレゼンテーションの指導を行っています。

本読みゼミ

大気海洋に関する専門書を1つ決めて、学生が輪読(抜き出し訳または訳読)を行います。「偏微分方程式よりもよっぽど役に立つから」ということで、当研究室では特に力を入れて文章力の指導を行っています。

10分トーク

教員・学生が研究の進捗状況を語ります。毎週行うことで各人のモチベーションを高めます。

レクレーション

歓迎会、ジンギスカンパーティー、大学院入試お疲れ様会、忘年会、卒論・修論お疲れ様会、送別会など研究室内の交流(飲み会)は盛んに行われています。

海洋気候物理学研究室、卒業すると…

北大理学部学士課程 修了(学士)

主に大学院へ進学します

その他、一般企業や官公庁への就職もあります。(卒業生の就職先:、ウィンザーホテル、気象庁、ニトリ、シャープ)

北大院理学院修士課程 修了(修士)

主に官公庁や
一般企業へ就職します

 専門知識を生かした就職も可能です。(卒業生の就職先:アーク情報システム、アクセンチュア、キリンビール、東京海上日動リスクコンサルティング、日本IBM、ベネッセ、日立製作所、防衛省陸上自衛隊事務官、三井物産、明光義塾、GSP、KDDI、NTT、TISなど)

北大院理学院博士 後期課程修了(博士)

主に研究者として
就職します

国内外の研究機関または大学(卒業生の就職先:海洋開発研究機構、ハワイ大学)