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研究に役立つツール

Matlab

Matlabは,米国Mathworks社の対話的数値解析ソフトウェアで,世界的に利用されています。対話的というのは1行Matlabへの命令を入力すると,すぐその結果が帰ってくるということです。特にMatlabでは,図にする機能が豊富で,データを図にする命令を出せば瞬時に図が描けます。Google検索で米国の大学を対象にMatlabを検索するとヒット数は,気象海洋学分野でやはり広く使われているプログラム言語であるFortranの約5倍,英国でも1.8倍というように,数値解析用のソフトウェアとして世界の標準となっています。Matlabは値段が張るソフトウェアですけれど,海洋気候研究室では学生が自由に使えるだけのライセンスを持っています。また研究室に所属する前の学部学生でも,北大をはじめ多くの大学でMatlabを使える環境を整えているので,Matlabに触ってみることができるでしょう。Matlabの使い方の解説はwebにも多数ありますし,何よりMatlabに付属しているデモとヘルプが強力なので,ちょっと時間をかければたいていのことはできるようになります。下の例では,2行の命令で図を描いたところです。

Matlab画面キャプチャ

Fortran

気象・海洋分野に限らず,数値計算で抜群の強さを発揮するプログラム言語です。Fortranでは大規模なプログラムを作ることができ,また実行が非常に高速です。我々が取り組む大気海洋の数値計算も,Fortranで記述されています。Fortranは歴史あるプログラム言語であるだけに、信頼性の高い計算ライブラリや作図ソフトフェアの蓄積は非常に膨大です。非常に凝ったあるいは厖大な統計処理や数値モデリングには欠かすことのできないプログラム言語です。すこし前までは古風なスタイルのFORTRAN77が主流でしたが、近年は現代的なプログラム仕様のFortran90やFortran2003が使われつつあります。

Fortran画面キャプチャ

Grads

世界でおそらくもっとも広く使われている気象学分野の描画ソフトウェアで,海洋物理学分野でもやはりよく利用されています。地球科学では図を描くには,地形を示したり,適切な地図投影法を選んだりする必要がありますし,また風向風速を示す矢羽根のように分野それぞれで要求される機能もあります。そこでそれぞれの分野に特化した,描画ソフトウェアが使われているわけです。Gradsも,対話的なソフトウェアの一つで,一つ命令を出せばすぐ結果が帰ってきます。またGradsは,OpenDAPという遠隔地のサーバーに置かれたデータにアクセスできる機能も持っています。下の例は,米国のデータにアクセスして,2011年1月の日本付近の海面更正気圧と,10 m風速の月平均値を描いたものです。Gradsは無料のソフトウェアで,我々は主にLinuxの上で使っています。

Grads画面キャプチャ

Linux

科学技術計算用のソフトウェアやツールの多くは,Linuxという基本ソフトウェア(OS)上で動きます。Linuxの他には,WindowsやMac OSという基本ソフトウェアがあるのは,皆さんご存じでしょう。我々のサーバーマシンもLinuxで動いていますし,パソコン上でもLinuxを使っています。パソコンでは多くの場合,Virtual Boxというソフトウェアで仮想マシンを作ります。仮想マシンとは,アプリケーションとして動いているのだけれど,あたかもそれ自体が一つの独立したパソコンであるかのように,動作するソフトウェアです。この仮想マシンの上にLinuxをインストールすることで,インストールが簡単だし,なによりWindowと同時に使えます。いろいろなLinuxがある中で,最近は扱いが簡単なubuntuをよく使っています。下の図はパソコンの仮想マシン上のLinuxから,研究室のサーバーマシンにログインして,gradsで,(gradsの項目で紹介したのと同じ)2011年1月の海面更正気圧の図を描いたところです。

Linux画面キャプチャ